こんにちは、ふくしま接骨院です。
今回は、腰痛や股関節痛を考えるときに意外と面白い筋肉、
「梨状筋(りじょうきん)」

についてお話しします。
梨状筋という名前を聞いたことがある方もいるかもしれません。
お尻の深いところにある筋肉で、坐骨神経との位置関係でも知られている筋肉です。
一般的には、
「梨状筋=股関節を外旋させる筋肉」
と説明されることが多いです。
もちろんこれは間違いではありません。
しかし、ここで一つ重要なポイントがあります。
梨状筋の働きは、股関節の角度によって変化する
筋肉は、単純に「この筋肉はこの動き」と決めつけられるものではありません。
筋肉が骨に付着している位置と、関節の位置関係が変われば、その筋肉が生み出す力の方向も変化します。
梨状筋もその代表例の一つです。
梨状筋は、
仙骨から大腿骨の大転子付近
へ走行しています。
つまり、骨盤と大腿骨をつないでいる筋肉です。
ここで股関節を動かしてみます。
股関節が伸びている状態から、徐々に曲げていく。
すると当然、大腿骨と骨盤の位置関係が変わります。
それに伴って、梨状筋の走行と大腿骨に対する位置関係も変化します。
その結果、
梨状筋が股関節の回旋運動に与える影響も変化します。
股関節が伸びている状態や軽度屈曲では、梨状筋は主に外旋方向に作用します。
しかし、股関節を深く屈曲させると、その作用は変化し、外旋作用が弱くなったり、条件によっては内旋方向の作用が現れることがあります。
ここが、
「梨状筋=外旋筋」だけでは説明しきれないところ
です。
では、これが腰痛と何の関係があるの?
ここからが臨床的に面白いところです。
例えば、ある人が、
「お尻の奥が痛い」
「股関節が重い」
「腰まで痛くなる」
と訴えているとします。
このとき、
「梨状筋が硬いんですね。伸ばしましょう。」
と考えるだけでは少し単純すぎます。
大切なのは、
「どの姿勢で症状が出るのか?」
です。
例えば、
立っているときは問題ない
でも、
椅子に座るとお尻が痛い
という場合。
座ることで股関節は屈曲します。
さらに、
・骨盤が後ろに倒れる
・股関節が内外旋する
・膝や足の向きが変わる
・体幹が前後に傾く
など、身体全体の条件も変わります。
すると、梨状筋だけでなく、股関節周囲の筋肉や骨盤との位置関係も変化します。
つまり、
「座ったときだけ痛い」
という症状を、
「梨状筋が硬いから」
だけで説明するのは難しいのです。
「股関節を曲げると痛い」でも、角度によって違う
さらに面白いのがここです。
例えば、
「股関節を曲げると痛い」
という人がいたとしても、
30°では痛くない。
60°で少し違和感。
90°で痛い。
120°まで曲げるとさらに痛い。
というように、角度によって症状が変化することがあります。
この変化には、筋肉だけでなく、
・関節の位置関係
・筋肉の長さ
・筋膜や結合組織の張力
・骨盤の動き
・大腿骨の回旋
・周囲組織への圧迫
など、さまざまな要素が関係します。
そのため、
「どの角度で痛いのか?」
を確認することは、身体を評価するうえで非常に重要です。
「お尻が硬い=梨状筋を伸ばす」ではない
ここで、よくある間違いがあります。
「お尻が硬い」
↓
「梨状筋が硬い」
↓
「梨状筋をストレッチしよう」
という考え方です。
もちろん、ストレッチによって楽になる人もいます。
しかし、すべての人が同じ反応をするわけではありません。
なぜなら、梨状筋の働きは、股関節の角度によって変化するからです。
例えば、同じ梨状筋でも、
股関節を伸ばした状態
と
股関節を深く曲げた状態
では、筋肉と大腿骨の位置関係が違います。
だからこそ、
「梨状筋を伸ばす」
という一つの方法だけではなく、
「どの角度で、どんな動きをすると症状が変わるのか?」
を見ることが大切になります。
腰痛の場合も「腰だけ」を見ない
腰が痛いと、どうしても腰そのものに原因を探したくなります。
しかし、腰と股関節は別々に動いているわけではありません。
立つ。
歩く。
座る。
しゃがむ。
階段を上る。
靴下を履く。
こうした動作では、腰・骨盤・股関節が連動して動きます。
例えば股関節がうまく動かない場合、身体は別の場所で動きを補おうとすることがあります。
その結果、腰部に負担が集中することもあります。
もちろん、これはすべての腰痛に当てはまるわけではありません。
しかし、
「腰が痛いから腰だけを見る」
という考え方では、見落としてしまう情報があります。
その一つが、
股関節の動きと角度
です。
梨状筋を見るなら「動かしながら」考える
梨状筋を考えるときに面白いのは、
「押して硬いか?」
だけではありません。
例えば、
・股関節を伸ばした状態
・股関節を軽く曲げた状態
・股関節を90°程度曲げた状態
・さらに深く曲げた状態
で、
内旋・外旋をすると症状がどう変化するのか?
を比較してみる。
すると、
「この角度では楽だけど、こっちでは痛い」
という違いが見つかることがあります。
この「角度による変化」は、身体を評価するうえで非常に重要な情報になります。
身体は「筋肉の名前」だけでは動いていない
梨状筋を例にすると、
「梨状筋は外旋筋」
という知識だけでも間違いではありません。
でも、
「その外旋作用は、どの関節角度でも同じなのか?」
と一歩踏み込んで考えると、身体の見え方が変わってきます。
筋肉は、骨に付着しています。
骨は関節によって位置を変えます。
関節の位置が変われば、筋肉の走行やモーメントアームも変化します。
だから、
筋肉の作用は「筋肉の名前」だけでは決まらない。
ここが身体の面白いところです。
梨状筋だけを悪者にしない
腰痛や股関節痛があると、
「梨状筋が硬い!」
「梨状筋が悪い!」
と考えたくなるかもしれません。
しかし、実際の身体はもっと複雑です。
梨状筋だけでなく、
骨盤・股関節・大腿骨・周囲の筋肉・動作
などが互いに影響し合っています。
だからこそ、ふくしま接骨院では痛い場所だけを見るのではなく、
「どの動きで症状が変化するのか」
「どの角度で身体の反応が変わるのか」
という視点も大切にしています。
腰痛や股関節痛でお悩みの方は、
「どこが痛いか」だけではなく、
「どの角度で痛いのか?」
にも少し注目してみてください。
身体の不思議な一面が見えてくるかもしれません。
※梨状筋の作用は股関節の屈曲角度、個人差、肢位などによって変化します。「○度で必ず外旋筋から内旋筋に変わる」と一律に決めることはできません。また、腰痛・股関節痛の原因が梨状筋にあるとは限りません。

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