「立っていると、いつの間にか身体が左に傾いているんです」
福島市にお住まいの70代男性から、そんな相談を受けました。仕事では長時間の立ち姿勢が続き、腰にも痛みが出ています。鏡を見ると、身体が左へスッと傾いている。頭も左に傾いたままです。
私自身、接骨院で長く患者さんの身体を見てきましたが、腰が痛いからといって腰だけを見ればよいとは限りません。
今回は、身体の傾きと腰痛を訴えて来院された70代男性の実際の症例をご紹介します。
「なぜ?」が残った身体の左傾き
最初に気になったのは、腰そのものよりも立ったときの身体全体の傾きでした。
患者さんは立ち仕事を続ける中で、身体が左側へ傾きやすくなっていました。
さらに確認していくと、頭部も常に左側へ側屈している状態です。
「ずっとこういう姿勢だったんですか?」
そうお聞きすると、ご本人も普段の姿勢について改めて考えている様子でした。
身体は一つにつながっています。
腰だけを切り取って考えるのではなく、胸郭、肩甲帯、頸部、股関節など、立位姿勢に関係する部分を順番に確認していきました。
ここで重要なのは、「身体が左に傾いている=左側だけが悪い」と単純には考えないことです。
姿勢は複数の関節や筋肉、日常生活での使い方などが組み合わって作られています。
「これは大きい」右大胸筋のスパズム
今回の身体を確認していて、特徴的だったのが右大胸筋のスパズムでした。
右大胸筋に強い緊張があり、上半身は左方向へ回旋しやすい状態になっていました。
胸の前側にある筋肉が強く緊張すれば、肩や胸郭の動きにも影響する可能性があります。
ただし、ここで「右大胸筋が腰痛の原因だった」と断定することはできません。
あくまで今回の患者さんでは、右大胸筋の緊張と上半身の回旋、身体の左傾きが同時に確認された、ということです。
この違いは非常に大切です。
私は以前、腰痛の患者さんを見たときに「腰が痛いなら腰をしっかり緩めればいい」と考えすぎていた時期があります。
ところが、それだけでは思ったように変化しないケースがありました。
そこで、腰を見る前に「この人はどう立っているのか」「どちらへ身体を逃がしているのか」と見るようになりました。
それ以来、施術の組み立てがかなり変わっています。
「左だけ硬い」広背筋と上半身のねじれ
さらに確認すると、左広背筋が右側と比較して短縮している状態が見られました。
広背筋は背中から腕へつながる大きな筋肉です。
今回のケースでは、
- 右大胸筋のスパズム
- 上半身の左回旋
- 左広背筋の短縮
- 頭部の左側屈
といった特徴が重なっていました。
もちろん、これらの所見だけで腰痛の原因を一つに決めることはできません。
しかし、患者さんの「身体が左に傾く」という訴えを考えるうえで、見逃せない情報でした。
「腰が痛いから腰だけ」
そう考えてしまうと、身体全体に起きている変化を見落としてしまうことがあります。
あなたも鏡の前に立ったとき、左右の肩の高さや頭の位置が気になったことはありませんか?
「ここも動かない」左股関節の可動域
もう一つ確認したのが、左股関節の可動域です。
今回、左股関節の動きに制限が見られました。
立っているとき、身体を安定させるには足元だけでなく、股関節や骨盤、体幹などが協調して働きます。
そのため、腰に痛みがある患者さんでも、腰部だけでなく股関節の動きを確認することがあります。
とはいえ、「左股関節が硬いから腰痛になった」と単純化することもできません。
身体の動きは複雑です。
だからこそ私は、患者さんの身体を一つの部品としてではなく、動きのつながりとして確認するようにしています。
「変わってきた」身体の傾きへの調整
今回の施術では、確認された筋肉や関節の状態をもとに身体のバランスを調整しました。
特に、
- 右大胸筋周辺の緊張
- 左広背筋の状態
- 左股関節の動き
- 頭部・頸部の側屈
- 上半身の回旋
などを確認しながら施術を進めました。
ここでも大切にしたのが、施術だけで終わらせないことです。
施術直後に身体が楽になっても、普段の身体の使い方が変わらなければ、また同じ状態に戻ってしまう可能性があります。
そこで、ご自宅でできる筋肉のセルフケアも指導しました。
「ここなら家でもできますね」
そう言っていただけたのを覚えています。
「自分でもやる」頭部側屈のセルフケア
今回、ご本人には頭部を右側へ側屈させる運動にも取り組んでいただきました。
目標としてお伝えしたのは、
右耳と右肩が近づく方向へ、無理のない範囲で頭を動かすこと。
ただし、これは「痛いところまで無理やり倒す」という意味ではありません。
痛みやしびれなどが出る場合は無理をせず、施術者などに確認しながら行う必要があります。
毎日の小さな積み重ねです。
「一気に姿勢を変える」のではなく、身体を動かす習慣を作っていきます。
「腰だけじゃなかった」今回の症例から学んだこと
今回の患者さんで印象に残ったのは、腰痛そのものよりも、腰痛と一緒に身体の左傾きが起きていたことでした。
右大胸筋のスパズム、左広背筋の短縮、左股関節の可動域制限、頭部の左側屈。
一つ一つだけを見ると、腰痛とは直接関係がないように感じるかもしれません。
しかし、実際の施術では、それぞれの状態を確認しながら全体の動きを見ることが重要になります。
私自身、過去には「症状が出ている場所」を中心に考えすぎていた失敗があります。
腰が痛いなら腰。
肩が痛いなら肩。
もちろん患部を見ることは大切です。
それでも、身体全体を見なければ説明できないケースもあります。
今回の経験からも、症状が出ている場所と、身体の使い方を分けて考えることの大切さを改めて感じました。
「少し楽です」身体の変化を実感
施術とセルフケアを続けていただいたところ、患者さんから嬉しい言葉をいただきました。
「左に傾かなくなってきた感じがします」
そして、腰の痛みも減ってきたことを喜んでくださいました。
もちろん、今回の変化を「この筋肉を調整したから腰痛が改善した」と一つの理由だけで説明することはできません。
身体の状態は日々変化します。
仕事量や睡眠、活動量なども関係するでしょう。
だからこそ、施術では一度の結果だけを見るのではなく、来院時の身体の状態と、その後の変化を確認していくことを大切にしています。
福島市で「腰が痛い」だけでは説明できない方へ
福島市で腰痛に悩んでいる方の中には、
「長時間立っていると腰が痛くなる」
「鏡を見ると身体が傾いている」
「最近、頭がいつも同じ方向に傾いている」
「左右で身体の動きが違う」
と感じている方もいるかもしれません。
その場合、腰だけを見るのではなく、立ち方や歩き方、股関節、胸郭、肩、首などを含めて身体の動きを確認することが大切です。
もちろん、すべての腰痛が姿勢や筋肉の問題で説明できるわけではありません。
強い痛みが続く場合や、しびれ・筋力低下など気になる症状がある場合には、医療機関への相談も必要です。
ふくしま接骨院では、痛い場所だけを見るのではなく、**「なぜその姿勢になっているのか」「身体をどう使っているのか」**という視点から身体を確認しています。
まとめ|身体の傾きが変わると、毎日の動きも変わっていく
今回の70代男性は、立ち仕事による腰痛だけでなく、身体が左へ傾く、頭部が左側へ傾いている、右大胸筋に強い緊張がある、左広背筋が短縮している、左股関節の動きが狭い、といった複数の特徴がありました。
それらを確認しながら身体を調整し、ご本人にも筋肉のセルフケアと頭部の側屈運動に取り組んでいただきました。
その結果、左側への身体の傾きが少なくなり、腰痛も減ったと喜んでいただけました。
腰が痛いからといって、腰だけが問題とは限りません。
「最近、身体が傾いている気がする」
そんな小さな違和感があるなら、一度ご自身の立ち姿を鏡で確認してみてください。
身体の変化に気づくことが、これからも仕事や趣味を続けていくための第一歩になるかもしれません。
福島市で腰痛や身体の傾きにお悩みの方は、まず現在の身体がどのように動いているのか、一緒に確認してみましょう。

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